株やFXの支持線と抵抗線とは?わかりやすく心理的解説

相場のトレンドを把握する上で、支持線と抵抗線は重要な要素となります。

株やFXにおいて支持線と抵抗線が相場の将来の動きを予測する助けになるのには、心理的な理由があります。

この記事では、支持線と抵抗線の定義から隠された心理学的理由について、トレード初心者でもわかりやすいように説明しています。

株やFXのチャートにおける支持線と抵抗線とは?

市場においては価格で連続的な高値と安値を形成して動くというトレンドがありますが、高値と安値はランダムではなく心理的な傾向が存在します。

トレンドの動きが鈍るか反発に転じる安値と高値の領域のことを、それぞれ支持線、抵抗線と呼びます。

支持線と抵抗線とは?
支持線(サポートライン)
買い勢力が売り圧力を上回るほど強い状態となるチャート上の安値水準または領域。

基本的に前回の安値と同じになることが多く、底値候補といえるでしょう。

抵抗線(レジスタンスライン)
売り勢力が買い圧力を上回るほど強い状態となるチャート上の高値水準または領域。

基本的に前回の高値と同じになることが多く、天井候補といえるでしょう。

ざっくり言ってしまえば、見えない障害物のようなものが相場には存在します。

支持線(サポートライン)とは?

支持線とは、価格は下げ止まったり上昇に転じやすい安値の水準を指します。

つまり、買う人が増えて売り圧力を上回ることで値上がりしていく状態となりやすいチャート上の安値の領域です。

上昇トレンドだけでなく、下降トレンドにおいても支持線は存在していて、長期的に下落を止められなくても、一時的には下落を食い止めます。

一般的に過去の安値が支持線になります。

抵抗線(レジスタンスライン)とは?

抵抗線とは価格は上がりにくくなり、下落に転じやすい高値の水準。

支持線とは反対に、上昇に対して抵抗するかのように売る人が買う人を上回ることで値下がり状態となりやすいチャート上の高値領域を示しています。

一般的に、抵抗線は以前に反落したことのある高値が抵抗線となりやすいです。

抵抗線は、上昇トレンドにおいても存在しており、上昇が止まったり、突破すると大きく上昇しやすいターニングポイントになります。

支持線と抵抗線はなぜ存在する?心理学をもとに解説

なぜ支持線と抵抗線は存在するのでしょうか?

市場参加者の心理を理解するために、買い手・売り手・傍観者という3つの立場に分けて考えましょう。

3種類の市場参加者
買い手
すでに買いポジションを持っている者
売り手
すでに売りポジションを持っている者
傍観者
現在のポジションをもっていないの者

あなたがそれぞれの立場になったときを想像してみて、次の2つのシナリオを読み進めてください。

シナリオ1:支持線領域でしばらく揉み合ってから、高く上昇

安値から価格が上昇すると、3つの立場の参加者は理由が違うもののそれぞれ同じ思惑をもつことになります。

買い手:喜びと後悔

支持線領域の安値で買った人は、予想通りに価格があがったので喜びますよね。

ただ、人間、余裕ができると欲がでてきます。

自分の予想どおりだったからこそ、「もっと多く買っておけばよかった」とちょっとした後悔の念を感じる人は少なくないでしょう。

ポジションを増やしたいと思っていれば、値段が再び支持線領域付近まで下落すると買い増ししたいと思うはずです。

売り手:疑いと祈り

FXで空売りをしている人が対象となりますが、自分の想定と反対側の方向に移動していることから予想が間違っていたのではないかと疑います。

すぐに撤退をする人もいますが、できるだけ損失を最小限に抑えるために売った価格でポジション解消ができるように価格まで再び下落することを祈りますよね。

その状態でエントリーした価格、つまり支持線近くまで戻ってくれば、購入する人が多くなります。

傍観者:ビッグウェーブに乗り遅れた

今まで一度ポジションをもっていないであれば、価格が上昇していることに気づき、「次に良い機会があれば買おう」と決めますよね。

また、すでに何かの理由で支持線付近で買いポジションを売った人であれば、早すぎる段階で撤退をしていたことに気が付きます。

機会があれば、手仕舞いしたあたりで再び買いたいと思うのは自然なことでしょう。

結果:全員が支持線付近で買おうとする

参加者は、すべて「次の押し目で買おう」と思っています。

なので、価格が支持線領域まで下がったとき、多くのトレーダーが買い注文を行うので、結果として値段があがると考えるのが自然ですよね。

とはいえ、本当に「市場の参加者が買いたいと思っている」と信頼できるか、どうやって判断すればいいのでしょうか?

ここで注目すべき項目は出来高です。

なぜなら、出来高は実際に行われた取引ですよね。

出来高が増えていれば、支持線あたりに重大な関心を持った参加者が多いことを意味しているからです。

特に出来高プロファイルを活用すれば、すぐに判断できるので効果的といえるでしょう。

他にもポイントアンドフィギュアも、とりわけ最も取引が多かった価格帯を確認するのに有効です。

シナリオ2:支持線領域でしばらく揉み合ってから、割れた

今度は視点を変えて、価格が下落したときのことを想像してみましょう。

価格が下落して前の支持線領域を下回り始めると、反応はまったく逆になります。

支持線や抵抗線から価格が大きく離れれば離れるほど、その支持線と抵抗線の重要性は高まります。

買い手:恐怖と祈り

支持線領域で買いを入れた者は全員、今度は自分が間違った方向にいると感じるでしょう。

ただし、市場参加者たちが「自分は間違いを犯したのだ」と思うぐらい相場が動けば動くほど恐怖を感じます。

相場が動けば動くほど、間違いであることを思い知らされるのです。

先物トレーダーであれば、追加証拠金を催促されるかもしれません。

トレーダーはあまり長い間、損失をそのままにしておくことはできません。

追証を入れるか、損を抱えたポジションを決済しなければいけないため、最小限の損失に抑えるために、支持線付近まで上がれば撤退する傾向にあります。

売り手:喜びと後悔

売り手はシナリオ1の買い手と同じ状態になります。

市場参加者のなかでも、少数派としての推測があたったことを喜びますよね。

ただ、一方で少し欲がでてきて「もっと買えばよかった」と思うことでしょう。

そのため、次に支持線まで上がってきたタイミングで売りポジションを増やしたいと考えます

傍観者:安堵と注視

ポジションを持っていなくてよかったと思うとともに、そろそろトレンドが転換したのではないかと新しい動きに注力しています。

トレンドが転換したと判断した場合は、次こそは乗り遅れないようにと考えて売りポジション持ちますが、高く売ることができるように支持線付近まで上がってきたタイミングで売ろうと思うでしょう。

結果:支持線がブレイクされると抵抗線になる(抵抗線が支持線になる)

今度は、逆に買い手・売り手・傍観者とすべての市場参加者が「次の戻り目で売りたい」と感じていますよね。

ここで、上がりやすい値段であった支持線のラインが、下がりやすい抵抗線に転換されたのです。

もともと前の支持線水準が生じたのは、その値段における買い注文が優勢だったからですよね。

しかし、相場が下落したことで、かつての注文が今度はすべて売り注文を出す理由に切り替わります。

つまり、抵抗線が支持線になり、支持線が抵抗線にチェンジするという特性があるのです。

支持線と抵抗線の特徴

直近の支持線や抵抗線ほど重要になる

買いたいという心理は前回の支持線から時間的にすぐであればあるほど、強力になります。

というのも、感情の持続期間はそんなに長くないからです。

昨日のうれしい記憶を思い出すのと一年前のうれしかった記憶を思い出したときでも、昨日の記憶のほうが細部まで思い出せますよね。

さらに、支持線や抵抗線が直近であればあるほど考慮に入れる市場参加者が多くなります。

トレーダーによって、1日、1週間と見ているチャートの期間が違いますよね。

直近であればあるほど、多くのトレーダーが見ているチャートの一部に含まれるので有効性が高くなります。

したがって、より時間的に近い支持線や抵抗線のほうが、より大きな影響力をもつでしょう。

価格が離れれば離れるほど重要度が上がる

また、支持線水準と抵抗線水準は相当な幅の反発・突破があればあるほど、強力な影響をもちます。

というのも、相当な幅があればあるほど、予想が外れたトレーダーは損失が膨れるので恐怖の感情が強くなるからです。

特に支持線や抵抗線が逆に切り替わるときほど、突破する距離は重要性が高くなります。

では、どの程度の突破が必要かどの程度の幅の突破があれば、支持線が抵抗線に変わるのでしょうか?

この答えは主観的になるので、厳密な基準はありません。

ただ、比較的多いのは基準として主要な支持線や抵抗線から3%の突破があるかどうかです。

より短期的な支持線と抵抗線の場合は、1%のように小さい数字を使ったほうがいいかもしれません。

実際にトレードするときは、自分で「信頼できるほどの突破とはどの程度か」を決めておきましょう。

支持線と抵抗線で重要な切りのいい数字

キリのいい数字で上昇や下落は止まりやすいです。

数字のマジックというよりも、単純にわかりやすくトレーダーが注文しやすいからです。

トレーダーは、10、20、25、50、75、100(あるいは1000の倍数)といった大台から、目標値や値動きを考える傾向があります。

したがって、キリのいい数字は「心理的」な支持線・抵抗線として機能しやすいのです。

例:金相場

1982年 下落相場 安値:300ドル

1983年1~3月 高値:500ドル 安値:400ドル

1987年 高値:500ドル

ちなみにダウ平均は1000の倍数で失速する傾向があったりします。

重要なキリのいい数字に近づいてきたら、この情報を利用して利食いを始めるトレードもできますし、キリのいい数字付近でトレードを明らかに避けることも考えられます。

例えば、上昇トレンドの短期の押しで買おうというときも、重要な切りのいい数字のすぐ上に指値注文を置きましょう。

なぜなら、多くのトレーダーが重要なキリのいい数字で買いを考えている場合、相場はそこまで下落しない可能性があるからです。

同様に、上がってきたタイミングで売ることを考えているなら、キリのいい数字のすぐ下に売り注文を置いておくべきでしょう。

原則的にまとめると、明らかにキリのいい数字にストップ注文を置くのは避けるのがオススメ。

つまり、買うときはキリのいい数字の下に、売るときはキリのいい数字の上に置くべきです。

相場ではキリのいい数字、特に過去に注目された重要度の高いキリのいい支持線や抵抗線ほど、トレーダーに意識される傾向が強いという特性があります。

支持線と抵抗線とトレンド

支持線と抵抗線の話が一段落したので、今度はトレンドの話に戻りましょう。

上昇トレンドでは支持線水準と抵抗線水準を切り上げていき、下降トレンドでは安値圏での支持線水準と抵抗線水準が切り下げていきますよね。

上昇トレンドが継続している間は、次の下値(支持線水準)は、その前の支持線水準を上回っていなければいけません。

上昇トレンドで、調整的な押しが前の下値を大きく下回った場合、その上昇トレンドが終了したか、あるいは少なくとも上昇トレンドから横ばいへの移行を示す警告となります。

なぜなら、支持線が抵抗線にチェンジした可能性が高くなるからです。

前回の支持線水準に値段が近づいているたびに、上昇トレンドは特に重大な局面を迎えていることは意識しましょう。

前の支持線領域の重要性が高ければ高いほど、現在のトレンドが転換しつつあるかもしれない警告となりやすいので注意しましょう。

抵抗線と支持線はトレーダーの心理を表す基礎基本

抵抗線と支持線の特徴を覚えておけば、トレードで非常に役に立ちます。

特徴の裏に隠れた心理を見ることで、市場参加者が相場の動きにどう反応しているかが分かります。

チャート分析は実際のところ投資家やトレーダーの心理の研究です。

移り変わる市場環境に対するトレーダーの反応を見ています。

残念ながら、チャートを分析する人は金融市場という移り変わりの速い世界に生きているため、チャートの専門用語や短絡的表現にかなり依存してしまいがち。

チャートが描き出した本来のストーリーを見過ごしてしまう傾向があります。

ときどき立ち止まって、なぜテクニカル分析の価格パターンや支持線・抵抗線の概念が実際に機能するのかを考えましょう。

チャートやチャート上に描かれた何本かの線が作り出した魔法のおかげではありません。

そのようなパターンが機能するのは、それらが市場参加者の実際の行動を写し出しているからです。

テクニカル分析を重視するトレーダーは、このことを心にとめてトレードすることが稼ぐための一歩です。