不動産投資ローンを組む際に住宅ローンを組んでいると実際どのような影響があるのかを説明していきます。
概要対象者:自宅購入で住宅ローンを検討している不動産投資初心者
- 不動産投資と住宅ローンの違い
- 住宅ローンが不動作投資ローンを組むときに与える影響
- 住宅ローンをすでに組んでいるときに不動産投資をする方法
不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?
まず、不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて簡単に説明しましょう。
不動産ローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
購入物件目的 | 第三者へ賃貸用 | 借り手自身の居住用 |
ローン返済の原資 | 家賃収入 | 自身の給与収入 |
融資の審査基準 | 物件の賃貸事業の安定性 | 本業の安定性 |
金利 | 高め | 低め |
融資の上限額 | 年収の10〜20倍 | 年収の5〜7倍 |
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらも物件を購入する行為は同じですが、目的とローン返済の原資などが異なります。
金融機関の審査基準や金利も違いがあります。
住宅ローンはどんなもの?
住宅ローンは、借り手自身の居住用に物件の購入のために組むローンです。
購入した物件に住む以外の目的はありません。
借り手は自身の給与収入の中からローンを返済していきます。
給料から毎月返済が安定してできるのかどうか?を見るため、住宅ローンにおける金融機関の審査基準は借り手の本業の安定性が評価対象となるのです。
会社が倒産しない限り返済を滞納するリスクが低いので、金利は低く設定されています。
不動産投資ローンはどんなもの?
不動産投資ローンは第三者へ賃貸することを目的に物件を購入し、家賃収入を得るために物件を購入するために組むローン。
ローンの返済は家賃収入によって行います。
不動産投資ローンの評価対象は、家賃収入からローン返済できるかを見るため、物件の賃貸事業としての安定性が見られます。
家賃収入額は空室リスクなどがあるため、返済が滞るリスクから、金利が高めに設定されています。
不動産投資ローンを組むときの住宅ローンの影響は?
どちらの融資にも融資枠(与信枠)という融資の上限額が設定されています。
- 住宅ローン:年収の5〜7倍
- 不動産投資ローン:年収の10〜20倍
住宅ローンと不動産投資ローンの融資枠はそれぞれ独立して考えるのではなく、融資額を合算して「自分の融資枠」と捉えましょう。
住宅ローンを先に使ってしまうと、不動産投資ローンの融資枠を減らしてしまいます。
不動産投資で資産拡大を目指すのであれば、初期の頃は家は賃貸にしておき、不動産投資ローンを先に組み資産拡大を目指すべきです。
住宅ローンで不動産投資をするのは違法?
たまにお客さまからご相談される内容に、「住宅ローンで物件を購入し、その物件を人に貸して家賃収入を得たらいいのでは?」と聞かれることがあります。
つまり、住宅ローンで不動産投資をするのは違法とまではいかないものの、契約違反となる行為になります。
もし発覚した場合、金融機関からローン残債の一括返済を求められますし、個人の信用も一気に下がります。
ご自宅を賃貸に出したい場合は、必ず不動産投資ローンに借り換えを行いましょう。
ちなみに発覚する理由として最も多いのが、郵便物。
金融機関からの郵便物を新居へ送った際に、うまく届かず返送されてしまった場合などは、金融機関は本当に住んでいるか怪しみ、確認を取ることになっています。
住宅ローンの契約者へ確認をとった結果、やはり住んでいないことが分かると、住宅ローンで不動産投資したと発覚してしまいます。
住宅ローンを組んでいる場合は不動産投資をどうすればいい?
ご自宅を住宅ローンで購入している方は、必ず不動産投資ローンにマイナスの影響を与えてしまうわけではありません。
不動産投資をする際にまず調べていただきたいのが、住宅ローンの残債とご自宅の担保評価額です。
住宅ローンの残債がご自宅の担保評価額の同額以下なら問題ない
ローンの残債があっても、担保評価額がローン残債とほぼ同額でしたら、それほど不動産投資に影響はでてきません。
むしろ、ローン返済が進んでいて残債が少なくなっている場合は、担保評価額の方が上回っている可能性さえあります。
担保評価額のほうが高いの場合は、資産として評価されますので不動産投資にとってはプラスの評価になります。
ご自宅を共同担保として不動産投資ローンを組めば融資枠が広がったり、頭金を少なくできたりします。
住宅ローン残債が多いときに不動作投資ローンを組むには?
住宅ローンを組んだばかりで残債が多く残っている場合は、おそらく不動産投資ローンの融資枠を減らしてしまっている状況です。
- 自己資金を多く用意すること。
- 購入したい物件の価格帯を本来欲しかった価格帯よりも安価にしていくこと
自己資金を多く用意すること
1つ目は、自己資金を多く用意することが有効になります。
事業の世界では「キャッシュ・イズ・キング」という言葉があります。
事業では手持ち資金を常に温存しておくのが鉄則ということです。
「キャッシュ・イズ・キング」は事業だけに限らず、不動産投資の世界でも全く同じことが言えるでしょう。
現金を多く持っていることで、入退去に伴う原状回復費用や突発的に起こる物件の修繕などに迅速に対応することができます。
融資の面でいうと、収入の中からムダづかいをせず堅実に資金を蓄えることできる計画性がある人と評価され、融資へプラスの評価に働きます。
金融機関はお金がなくて困っている人にお金を貸すのではなく、お金をたくさん持っていて貸倒れのリスクが少ない人へより多くのお金を貸したいと思っているのです。
自己資金を増やすといっても、そう簡単にできるものではありません。
しかし、できる限りの努力(支出の見直し、副業を新たに始めるなど)をして毎月のキャッシュフローを改善すること。
人によってはご両親や親族からの援助があるかもしれませんが、いずれかの方法で自己資金を増やしていきましょう。
購入したい物件の価格帯を下げる
2つ目は、購入したい物件の価格帯を本来欲しかった価格帯よりも安価にしていくことです。
不動産投資をする際にはじめ誰もが思うことが都心の好立地、高利回りで築浅でキレイな物件を購入したいと。
しかし、理想ばかりを追い求めて何年経っても物件を購入できない方も実際にはおられます。
たとえ物件が決まったとしても、融資も受けられないようでは本末転倒ですよね。
融資が受けられる範囲内での物件を探す必要がありますので、まず価格面で妥協をして購入できる物件を探していきましょう。
住宅ローンを組んでいても不動産投資できる
だれしも最初の一歩が一番重くて、購入には慎重になるもの。
不動産投資は、大きなお金が動きますし、リスクもあります。
あまり深く考えず営業マンの言われるがままに購入するだけでは成功は遠くなってしまうでしょう。
しかし、不動産投資というのは、長期で物件を保有しローンの残債が減っていけばいくほど、売却価格でローン残債を返済しやすくなりますので、負ける要素が減っていくのです。
つまり長期でやればやるほど勝率が上がりやすくなる投資なのです。
早く投資を早く始めた人の方が、投資の勝率も上がりやすくなりますし、何より実践から学ぶことが座学よりもはるかに成長します。
ですので、ご自身で抱えられるリスクの範囲内で投資家としてのスタートをなるべく早く切っていきましょう。
実際に物件を購入する際は、妥協点をしっかり持ち、今の現時点の資金力・属性で買える物件を買っていくスタンスを大事に購入していくことをオススメします。