経済指標とは？経済指標の一覧から見方をわかりやすく解説

経済指標のなかには短期的だけでは価格に影響を与えないことも多いですが、中長期では大きな意味を持つ指標もあります。

プロトレーダーなど多くの人がチェックをしているため、トレードを始めるなら知っておいて損はありません。

経済指標とは？わかりやすく

ファンダメンタルズ分析で最も速報性が高く大きな影響を与えるのが、経済指標。

世界中の政府や中央銀行が発表している経済データで、各国の経済状況の本質的な価値を表すデータとなります。

経済指標は広く浅くが基本で、深く知る必要はありません。

経済指標が発表される前後は大きな値動きを見せることがあるので、まずは発表時間だけでも把握してください。

経済指標の見方

経済指標の見方の基本は、推移についての予測との違いに注目することです。

経済指標を見るときには、前月比（方向性）・前年度比（比較）でどれだけ動いたかを見ます。

ただ、どれだけ推移したかをみるだけでは意味がありません。

なぜなら、市場価格は全て予想を折り込み済み。

各国の主要な経済指標は発表の1週間前には、多くの金融機関やシンクタンクからあらかじめ予想がでています。

なので、重要なのは市場が発表されている実際よりも過大評価や過小評価していないかという感覚になります。

経済指標の予測とのズレは、注目されていた指標であればあるほど大きな値動きを引き起こしますが、重要な指標は時代により変化します。

ルールを決めて対応するのは難しいので、市場の心理を見極めながら臨機応変に対処していくことが求められるでしょう。

アメリカの経済指標一覧

経済指標のなかでも、資本主義の中心（世界第1位の経済大国）となっているアメリカの経済指標は世界中に大きな影響をあたえます。

アメリカの経済指標の特徴としては、調査から発表までの期間が日本よりも早いです。

早い分、信頼性は低くなりますが、市場のショックを和らげるという効果も。

アメリカの経済指標は、だいたい22時30分か24時に発表されることが多く、重要な指標は金曜日に発表される傾向にあります。

週末にポジション調整の動きが多い一つの原因なのです。

雇用関連の経済指標

米国雇用統計

アメリカの経済指標の中で最も市場が注目されています。

米国雇用統計では10項目以上が発表されますが、市場が特に中止しているのは非農業部門雇用者数と失業率です。

非農業部門雇用者数

非農業部門雇用者数は、経営者や自営業、農業部門を除いた就業者数を表しています。

アメリカで給料が支払われている人の数ともいえ、個人所得や消費に大きな影響をあたえます。

金融政策や経済政策も左右するほどの重要な経済指標。

失業率

現在、求職中している人数を表した指標。

失業者を労働人口で割った％で表されます。

緊急政策に大きな影響を与えますが、景気に遅れて反映されることから、基本的には非農業部門雇用者数のほうが重要視されやすい傾向にあるでしょう。

新規失業保険申請件数

新規失業保険申請件数は、アメリカで1週間でどれだけ失業者が新しく失業保険給付を申請したかを表す経済指標です。

毎週発表されるので速報性が高いため、市場で注目されます。

ただ、天気が悪かったり、祝日だったりすると申請者が減るため、ブレが大きいという特徴があります。

景気関連の経済指標

GDP

アメリカの経済全般の景気を見るには実質GDPが成長率が最適で、雇用統計と並んだ二大注目経済指標です。

中でも7割を占める個人消費支出は非常に注目され、金融政策・財政政策に大きな影響を及ぼします。

GDP	発表	第1四半期 （1~3月）	第2四半期 （4~6月）	第3四半期 （7~9月）	第4四半期 （10~12月）
速報値	翌月	4月	7月	10月	1月
改定値	翌々月	5月	8月	11月	2月
確定値	翌々々月	6月	9月	12月	3月

貿易関連の経済指標

貿易関連の経済指標はお金の流れを見る上で重要な経済指標となります。

近年では、最重要視されるほどではないですが、注目度が高まる可能性はあるでしょう。

貿易収支

貿易収支とは、輸出額と輸入額の差です。

一方的な貿易赤字が続くと、貿易摩擦を引き起こすこともあります。

物価関連の経済指標

物価は金利動向に直接影響し、金融政策の節目であればあるほど注目されます。

中央銀行は物価の安定を目標とするため、金融政策に大きな影響を与える指数だからです。

生産者物価指数（PPI）

生産者物価指数とは、アメリカ製造業者の10,000万品目もの価格を調査して、売り手の販売価格の変動を指数化した経済指標。

最終財・中間財・原材料に分類され、中でも最終財は物価の動きを知るうえで重要です。

売り手の価格をまとめたものといえるでしょう。

消費者物価指数（CPI）

消費者物価指数は商品やサービスを購入する価格を指数化した経済指標。

変動が大きな食品やエネルギーを除いたコアCPIのトレンドは注目されており、予想とのブレが大きいばあいは金融政策にも影響を及ぼします。

買い手の価格をまとめたものといえるでしょう。

消費関連の経済指標

小売売上高

デパートやスーパーといった様々な形態の小売業の売上を調査して、推計した経済指標。

個人消費を見るうえで重要な指標として注目されます。

生産関連の経済指標

鉱工業生産指数

鉱工業生産指数は、工業部門の生産動向を指数化した経済指標。

製造業では不況になれば、リストラが行われるため雇用と密接につながっています。

景気総合指数の一致指数としても採用されているほど、景気との関係が深いことで知られています。

ただ、アメリカでは製造業の割合は15%未満と日本と比べて低いため、需要度は少し落ちます。

耐久財受注

出荷、在庫、新規受注、受注残高から構成される経済指標。

製造業受注が翌々月に発表されるのに対して、耐久財受注は毎月下旬に前月分の速報値が発表されるので、先行指標として注目されます。

ただ、ブレが大きく、市場の値動きに大きめは影響を与えます。

ISM製造業景気指数

アメリカ全州の製造業企業のアンケート回答をもとに％で、ISMが発表する経済指標です。

主な経済指標のなかでもかなり早く発表されるので、企業の心理を反映した景気転換の先行指標として注目されています。

フィラデルフィア連銀製造業景況指数

フィラデルフィア連銀の管轄下にある3州に存在する製造業企業のアンケート回答をもとに発表される経済指標です。

サンプルが少ない分、信頼度はひくくなるものの、ISMよりもはやく発表されるため、市場の予測に利用されます。

住宅関連の経済指標

住宅着工件数

住宅着工件数は、地域別の新築一戸建てと新築集合住宅の着工件数を表した経済指標。

家が一見建つことで、家具や家電、寝具生活要因の消費が増えるので、景気に大きな影響与える先行指標として注目されます。

新築住宅販売件数

新築住宅販売件数は、月内に販売された新築住宅の件数を表した経済指標。

契約者が署名したものが集計されます。

景気変動に対して先行性が高いといわれています。

中古住宅販売件数

中古住宅販売件数は、所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数をを表した経済指標。

新築住宅販売件数と比較して、圧倒的に多いのが特徴です。

S&Pケースシラー住宅価格

S&Pケースシラー住宅価格は、アメリカの主要な20都市の住宅価格の動きを示す経済指標。

住宅価格は個人消費に影響を与えるものとして、注目されています。

ヨーロッパの経済指標一覧

EU圏の経済指標は、ECBと欧州委員会から発表されます。

EU加盟国の数値を合算して算出したもので、なかでもドイツの経済指標は大きな影響を与えます。

なお、経済指標は国によって数値の定義がことなることがあるので、国際比較するときは注意しましょう。

経済指標の活用方法

重要な経済指標であればあるほど、発表日の前日あたりから調整の動きがみられるので、注視しましょう。

そして、発表当日の東京市場からヨーロッパ市場に映る時間には投機的な動きも加わる傾向にあります。

ただ、経済指標が発表される1〜2時間あたりから流動性が低くなり値動きは極端に小さくなります。

ただ、一部のトレーダーはあえれ、指標が発表されるタイミングで自分に有利な方向に誘導しようとする動きがみられますが、基本的にはすぐ戻ります。

経済指標は発表後にトレンドをしっかりと確かめた上でトレードしてください。