MACDは、短期と長期の移動平均線を利用してトレンドの転換を把握するテクニカル指標です。
ゆったりした動きをするため売り買いのシグナルも遅く出ますが、その分ダマシも少ないのが特徴です。
概要対象者:FX・株でMACDが使えないと思っている人
- MACDとは(MACD、シグナル、ヒストグラムの設定・計算式)
- MACDの見方(買いシグナル・売りシグナル)
- MACDのゴールデンクロス・デッドクロス
MACDとは?わかりやすく解説
指標 | MACD(Moving Average Convergence and Divergence trading method、移動平均収束拡散手法) |
---|---|
難易度 | 2.0 |
仕組み | 短期のEMAから長期のEMAの間隔の変化からトレンドの強弱・転換を判断 |
用途・手法 | トレンド転換の先読み |
買いシグナル |
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売りシグナル |
|
設定値(期間) | MACDライン:12&26、シグナル:9 |
開発者 | Gerald Appel(アメリカの投資顧問会社シグナラート・コーポレーション社の経営者) |
誕生時期 | 1970年代 |
備考 | 移動平均線の発展的分析指標。 |
MACDは、短期と長期の移動平均線の間隔の変化から、相場の流れをわかりやすく指標です。
MACDの日本語訳である「移動平均収束拡散手法」をわかりやすく言い換えれば、2本の移動平均線が近づいたり(収束)、離れたり(拡散)することを分析する手法とそのままの説明なのでイメージが湧きやすいでしょう。
2本の移動平均線の間隔は、一つのトレンドが発展している間はどんどん開いていき、終わりに向かえば狭くなります。
2本の移動平均線が近づけば、ゴールデンクロス/デッドクロスが起こりますし、離れていればゴールデンクロス/デッドクロスは起きずにトレンドが継続しますよね。
MACDは移動平均線の進化系といえるでしょう。
個人的には、MACDについは以下の動画を見ると理解が深まるのでオススメです。
- MACDライン(折れ線)
- MACDシグナル(折れ線)
- MACDヒストグラム(棒グラフ)
もともとはMACDラインだけだったのですが、シグナルとヒストグラムの分析が追加されて、2本の折れ線と棒グラフで構成されています。
株やFXで利用できる移動平均線の種類や期間の概要や設定方法について紹介!デットクロス、ゴールデンクロスなどの平均移動についての見方について初心者向けに解説。
MACDの計算式の見方
MACDは、直近の終値を実質2回カウントしていることで、直近の値動きによりフォーカスしたEMAから構成されます。
EMA = (一定期間の終値の合計 + 直近の終値) ÷(一定期間の本数 + 1)
そのため、直近の値動きに敏感に反応することからトレンドの先行指標として利用されることが多いです。
MACDラインの計算式と設定
MACDラインの計算式
MACDライン=短期EMA-長期EMA
MACDラインの計算式をわかりやすく言い換えれば、「2本のEMAの間隔」を表しています。
- MACDラインが+
- 短期EMAが長期EMAの上にある=上昇トレンド
- MACDライン=0
- 短期EMAが長期EMAがクロスした=ゴールデンクロス(MACDが+⇒0)orデッドクロス(MACDがー⇒0)
- MACDラインがー
- 短期EMAが長期EMAの下にある=下降トレンド
短期EMAと長期EMAの間隔が、広くなればなるほどレンドの勢いがあり、狭くなればなるほどトレンドの勢いが弱いことがまず分かります。
さらに、EMAの間隔に注目しているわけですから、MACDラインがマイナスからプラスに切り替わったらゴールデンクロス、プラスからマイナスに切り替わったらデッドクロスであることまで分かるわけです。
そのため、MACDラインがマイナス側から0に上向きになっていればゴールデンクロスが起こることが、プラス側から0に下向きになっていればデッドクロスが起こることが予測されますよね。
価格が底や天井になるよりも前に、トレンドの勢いが弱まっていることが判断できるのです。
MACDは価格の動きに先行していると言われる理由です。
MACDラインの設定
MACDラインの設定としては、短期EMAが12、長期EMAが26です。
時間足でも15分足でも5分足でも特にこだわりがなければ、基本の12と26のままでよいでしょう。
ただ、設定を絶対に替えてはいけないものではないので、参加する市場やトレードのスタイルに応じて自由に変更しても大丈夫です。
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MACDシグナルの計算式と設定
MACDシグナルの計算式
MACDシグナルは、MACDラインのSMAです。
MACDシグナル =( 当日のMACDライン + 1日前のMACDライン + … + n日前のMACDライン) ÷ n
※nは設定された期間
MACDシグナルは、MACDラインがどちらに動いているのかをわかりやすく把握したいということで、MACDの移動平均線が重ねて描画されるようになりました。
つまり、MACDシグナルのクロスを見れば、明確にMACDのトレンドを把握することができるのです。
MACDシグナルの見方
MACDの最大のサインは、MACDラインとMACDシグナルのクロスにあるといっても過言ではないでしょう。
- MACDのゴールデンクロス
- MACDラインが下がった後に横ばいor上昇に転じたときに、MACDシグナルがMACDラインを上抜けること。
(買いサイン) - MACDのデッドクロス
- MACDラインが上がった後に横ばいor下落に転じたときに、MACDシグナルがMACDラインを下抜けること。
(売りサイン)
ゴールデンクロスやデッドクロスが価格に先行するように、MACDラインの0を基準したときよりも早い段階でトレンド転換をいち早く察知できる点が魅力です。
MACDシグナルの設定
MACDシグナルの設定は、9が一般的です。
MACDラインの設定をトレードスタイルに合わせて調整しているので、MACDシグナルは基本的に変更しません。
元々の目的が、MACDラインの動きをわかりやすくするものなので、いじる必要がないわけです。
MACDヒストグラム(OSCI)の計算式
MACDヒストグラム(OSCI)は、MACDラインとシグナルの間隔を棒グラフに表した指標です。
MACDヒストグラム = MACDライン - MACDシグナル
わかりやすく言ってしまえば、MACDのMACDといえ、間隔の拡大と縮小を見ているのです、
- MACDヒストグラムが0を上抜け=MACDラインがシグナルを超えた「ゴールデンクロス」
- MACDヒストグラムが0を下抜け=MACDラインがシグナルよりも下回った「デッドクロス」
MACDよりも早く、買いシグナルや売りシグナルを知るために、Thomas Aspray氏が発案しました。
ただ、サインが早くなった分、ダマシも多くなってしまったために参考にとどめておくのがいいでしょう。
MACDヒストグラムだけを根拠に長さが縮みはじめたタイミングにトレンドの転換という見方もできますが、他のテクニカル指標と組み合わせて使うほうがオススメです。
株やFXはMACDだけで勝てる?MACDの使い方とは?
株やFXはMACDだけで勝てるというMACD最強論は過大評価
MACDが得意なのは、相場の流れの変化を把握することで、うまく活用すれば順張りトレードで大きな力を発揮します。
しかし、ダマシも多いのも事実です。
株やFXはMACDだけで勝てるというMACD最強論を見かけることがありますが、過大評価だと個人的には思います。
確かに移動平均線を拡張させた手法なので、MACDだけでも汎用性が高いのは間違いありません。
ただ、買いサインや売りサインが非常に多いので、どこで売り買いすればいいのか迷ってしまいがち。
結局、それぞれのサインの意味を理解しないまま利用することで、ダマシにあってMACDは使えないとなってしまうのです。
MACDだけにこだわる必要もないので、正直なところ他のテクニカル指標と組み合わせたほうがベター。
トレードでは数多くのテクニカル指標を使いこなす必要はありませんが、トレンド系の指標とオシレーター系の指標を数個ほど組み合わせて使うのがいいでしょう。
MACDと移動平均線と組み合わせた使い方
MACDは移動平均線を発展させたものなので、組み合わせの相性がバツグン。
短期(12日)と長期(26日)の2本のEMAとMACDを組み合わせて利用するといいでしょう。(EMAの期間はMACDの設定に合わせてください。)
なお、長期移動平均線はサポレジラインになることも多いので、価格が長期移動平均線の近くにある状態で売買すると勝率をあげることができます。
MACDの買いサイン
- MACDヒストグラムが底打ちする。
- MACDシグナルとMACDラインのゴールデンクロス(買いサイン)
- EMAのゴールデンクロス
MACDは基本的にヒストグラムから動き始めます。
ただ、ヒストグラムの買いサインは少し早すぎてダマシに合いやすいで、様子見にとどめておくのが良いでしょう。
ヒストグラムの動きはあくまでもタイミングを見逃さないためのアラートだと思っておいてください。
次でてくるMACDシグナルとMACDラインのゴールデンクロスが最初の買いサインです。
ただ、MACDのゴールデンクロスが正しいものであれば、本来はEMAのゴールデンクロスが起こります。
EMAのゴールデンクロスしないようであれば、ダマシだったと判断して損切りしてください。
EMAのゴールデンクロスも買いサインなので、ポジションを追加してもいいでしょう。
早く利確をしたい人はMACDヒストグラムが天井をつけたタイミングで、多少のリスクをとっても大丈夫な人はMACDのデッドクロスで手仕舞いをしてください。
MACDの売りサイン
- MACDヒストグラムが天井をつける。
- MACDシグナルとMACDラインのデッドクロス(売りサイン)
- EMAのデッドクロス
買いサインと同じように、ヒストグラムが天井をつけたタイミングは、まだ様子見にとどめておきましょう。
MACDシグナルとMACDラインのデッドクロスが最初の売りサインで、EMAのデッドクロスが起きるかどうかで追加するか手仕舞いするか判断してください。
また、直近の高値を超えた場合もロスカットしておくのがよいでしょう。
MACDのダマシに気をつける
トレンド相場でMACDを活用する
レンジ相場になると、MACDとシグナルが共に横ばい状態になり、もつれあうことが多くなります。
MACDのゴールデンクロスとデッドクロスが多発しますが、EMAのゴールデンクロスやデッドクロスは前提条件が成立しないので、売買サインとして機能しなくなります。
MACDヒストグラムの山や谷が小さいのも見分けるポイントです。
レンジ相場では、MACDを利用したトレードは控えましょう。
また、トレンド相場でも、ゼロラインの上下に注目してください。
MACDシグナルがマイナスゾーンでゴールデンクロス、MACDシグナルのプラスゾーンでデットクロスしたサインのほうが勝率が高くなります。
ゼロライン近くのクロスは上昇相場であれば押し目、下落相場であれば戻しをつけた後にトレンドを再開した場合に起こります。
それなりにダマシの可能性があるので、相場の強弱をしっかり確認したうえでエントリーしましょう。
MACDヒストグラムでダマシ回避
ダマシを回避するために、MACDラインとMACDシグナルの動きも見極めましょう。
転換したトレンドが安定したものであれば、MACDのゴールデンクロス/デッドクロスした後に、MACDラインとMACDシグナルは間隔を広げているか並行しています。
ゴールデンクロスかデッドクロスが正しいものであれば、MACDヒストグラムはだんだんと長くなるのです。
逆をいえば、MACDヒストグラムが短くなっていればダマシの可能性が高いので手仕舞いをするのがいいでしょう。
MACDを無料チャートで活用しよう
MACDは移動平均線を発展させたテクニカルインジケーターで、世界中のトレーダーが使っています。
「MACDだけで勝てる」のは言い過ぎですが、MACDでトレンドを予測することで、トレードの方向性がたてられるようになるでしょう。
MACDを株やFXで利用したいのであれば、動画の解説でも使われていた無料のチャートツールTradingViewがオススメ。
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