サイコロジカルラインは「投資家の心理」を数値化したオシレーター系逆張りテクニカル指標です。
日本生まれにも関わらず有名ではありませんが、相場の強弱の見極めや、買い場、売り場を判断するのに有効的で、わかりやすいので好むトレーダーもいます。
概要対象者:FX・株で簡単なオシレーターの使い方を知りたい入門者
- サイコロジカルラインとは?(意味)
- サイコロジカルラインの計算式・設定
- サイコロジカルラインの使い方
- サイコロジカルラインとRSIの関係性
サイコロジカルラインとは?
指標(英訳) | サイコロジカルライン(psychological line) |
---|---|
難易度 | 2.0 |
仕組み | 一定期間における価格が上昇・下落した日数が何日あるかを割合で算出 |
用途・手法 | 投資家のの心理状態を計るオシレーター系インジケーター |
買いシグナル | 25%ラインを上抜け |
売りシグナル | 75%ラインを下抜け |
設定値(期間) | 12日 |
備考 | 確率論に反した人間心理を利用。 |
サイコロジカルラインとは、前日比プラスの日数の割合で投資家の心理状態を図ろうとするオシレーター系テクニカル指標で、「サイコロ」と略されることが多いです。
psychologicalは、英語で「心理的な」という意味。名前から誤解を受けがちですが、実は日本生まれのテクニカル指標。
レンジ相場で効果を発揮するオシレーター系の指標の一つで、FXの逆張りに使われることが多いです。
サイコロジカルラインは確率論の派生
サイコロジカルラインは、ギャンブラーの誤謬という確率に対する投資家の心理傾向を応用した理論が根拠となります。
例えば、コイントスで、裏表を当てるゲームを想像してください。
7回投げた結果、次のような結果になったとします。
- 表
- 裏
- 表
- 裏
- 表
- 表
- 表
- ?
あなたは、8回目に表と裏どちらが出ると予想しますか。
多くの人は「表が出続けているのだから、そろそろ裏が出るのでは」という心理に傾く可能性が高くなる傾向にあります。
ですが、コインの表が出る確率も、裏がでる確率も1/2。
よくよく考えれば、前回の結果は、次のコイントスの結果に影響しないですよね。
行動経済学におけるギャンブラーの誤謬と言われるものだね。
自分の主観や経験によって、合理的な根拠がないにも関わらず確率論に基づいた予測が歪められてしまう心理現象のこと。
投資家も人間である以上、同じような心理が働くでしょう。
株安や株高がこんなに続かないだろうと思ってしまう投資家心理を数値化した指標がサイコロジカルラインです.
サイコロジカルラインの計算方法
サイコロジカルラインの計算方法は、一定期間内で何%が上昇した日かで算出されます。
あくまでも心理傾向を判断するためのものなので、上昇や下落の変動幅には関係ありません。
サイコロジカルラインの計算式
サイコロジカルラインの計算式は非常にシンプル。
サイコロジカル・ライン= 一定期間内の上昇した日 ÷一定期間 × 100(%)
0%~100%の間で推移し、50%を基準にして数字が大きければ上昇トレンド、数値が小さければ下降トレンドと考えます。
サイコロジカルラインが25%以下になると割安、75%以上になると割高であると判断します。
サイコロジカルラインの設定
サイコロジカルの期間は、通常12日で設定する場合が多いです。
日昔は土曜日も市場が開いていたことから、「2週間=12日間」としたのではないかと考えられ、今でも慣習的に使われています。
つまり、6日間上昇していれば50%と判断します。
サイコロジカルラインの使い方
サイコロジカルラインは、オシレーター系指標の使い方と基本的には同じです。
サイコロジカルラインの基本的な使い方は逆張り
サイコロジカルラインの使い方は、75%を下抜けしたタイミングで売って、25%を上抜けしたタイミングで買う逆張りが基本。
- 買いサイン:75%以上になったあとに75%よりも低くなったタイミング
- 売りサイン:25%以下になったあとに25%よりも高くなったタイミング
サイコロジカルラインの前提として、株価が連続で上昇した場合は、下落する可能性が高まっていると判断する投資家が増えてくると考えるからです。
つまり、過去12日間のうち9日以上、上昇・下落したあとに、上昇・下落する日数が少なくなってきたら、トレンドの勢いが弱まり反転するんじゃないかと判断します。
75%や25%になったらすぐに売買するわけではないのでご注意ください。
サイコロジカルラインはボリンジャーバンドを活用してレンジ相場で使おう
サイコロジカルラインは、オシレーター系指標なのでレンジ相場で効果を発揮します。
気をつけてほしいのは、全ての相場で効果を発揮するわけではないということです。
コイントスと違って、株式やFXの相場では前日分の動きの影響を受けますよね。
特にトレンドが発生しているときは、上下に動く確率は50%ではありません。
トレンドが発生しているときであれば、上下ともに50%というよりもトレンド方向に動く可能性のほうが高くなります。
トレンド相場でサイコロジカルラインを使うと損失が広がりかねないので、注意しましょう。
ボリンジャーバンドなどのトレンド系のテクニカル指標と組み合わせることで、レンジ相場かどうかを確認して活用しましょう。
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サイコロジカルラインはダマシが多い
サイコロジカルラインは、ざっくりと相場を把握するのに効果的ですが、ダマシが多い傾向にあります。
特にFXや株の急騰相場や急落相場に、ついていけないことがほとんど。
例えば、FXで過去10日で毎日1円ずつ上がっていたとしても、最後の2日間にわたって10円下がった急落相場があったとします。
サイコロジカルラインでは、12日のうち10日も上昇しているので圧倒的な上昇相場ですが、本来ならどう見ても下落トレンドが発生したと判断できますよね。
つまり、値動きを日数だけで判断するとシンプルすぎて、ダマシになってしまう弱点があるのです。
サイコロジカルラインはRSIの元
サイコロジカルラインを発展させたものがRSIだと言われています。
サイコロジカルラインは値幅が考慮されずに勢いが無視されているのが、弱みといえます。
サイコロジカルラインの短所である値幅を考慮したのが、人気オシレーターRSIです。
RSIは、値幅を考慮したサイコロジカルラインの発展型といえるでしょう。
- サイコロジカルライン
- 一定期間で上昇した「日数」の割合
- RSI
- 一定期間で上昇した「値幅」の割合
RSIはどれぐらいの値動きがあったかを考慮するということで、大きな値動きは小さな値動きしかなかった数日分と同じ意味を持つのが特徴。
RSIのほうが優れているというよりも、中身を知って使い分けをしておきましょう。
RSI(相対力指数、Relative Strength Index)は、一定期間における上昇と下落のどちらの勢いが強いかを判断する指標です。 買われすぎ・売られすぎを判断でき、個人投資家にも人気が高いオシレーター系指標と …
サイコロジカルラインで逆張り指標の使い方をマスターしよう
サイコロジカルラインは、非常にシンプルなオシレーター系テクニカル指標。
わかりやすい計算式なので、オシレーター初心者におすすめな逆張り指標の入門みたいなもの。
初めてテクニカル分析するのにサイコロジカルラインで慣れてみたら、進化系のRSIに切り替えるといいでしょう。
サイコロジカルライン以外にも、下記にテクニカル分析について概要をまとめたのでご参考ください。
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