スイスフラン為替レートのリアルタイムチャート
スイスフランの特徴
スイスフランは有事の際の避難通貨としての一面と、円と同様にキャリー・トレードのための資金調達用通貨としての一面を持ちます。
スイスフランは避難通貨
永世中立国として地政学的リスクが低いスイスは地政学的なリスクも低く、安全資産である金保有国の通貨でもあるスイスフランは避難通貨として特徴を持ちます。
経常収支の黒字が継続していたり、低いインフレ率もあり、日本円と似た特性をもちます。
避難通貨であるスイス・フランは国内よりも海外の状況に影響されることが多くみられます。
昔はアメリカドルは「有事のドル買い」でしたが、2001年の9.11テロでアメリカが当事国となった頃から威光が薄れてきました。
21世紀にアメリカドル代わりにリスク回避のための避難通貨として注目されたのが、スイスフランです。
投機マネーは、貪欲にも関わらず臆病でもあります。
金はことから、スイスフランも似たような動きをします。
世界が不安定になれば、一時的に避難通貨であるスイスフランが買われるという特徴があります。
スイスフランは資金調達用通貨
円と同様にスイスを売って金利の高い通貨を買うスイスキャリー・トレードが多く見られます。
また、現在は主要国のほとんどが低金利政策をとっていますが、スイス・フランは以前から低金利でした。
スイスの銀行は、守秘義務を徹底しているためお金が集まりやすいこともあるでしょう。
ただ、近年ではマネーロンダリングや国外の脱税者が増えていることから、公開させようという動きもあります。
円との金利差が小さく、スイス円の値幅はそれほど期待できません。
スイスフラン円の推移
年 | 歴史 |
---|---|
1973年 | スイスフランが完全変動相場制に移行 |
1973年 | 第1次オイルショック |
1979年 | 第2次オイルショックでスイスフラン高 |
1980年代前半 | アメリカが政策金利を高く設定していたことで、そちらに資金が流れる |
1985年 | プラザ合意でドル安傾向に |
1995年 | アメリカの貿易赤字の拡大によるドル安の進行 |
1998年 | ロシア危機によるスイスフラン高の進行 |
2001年 | 9.11テロ |
2011年9月 | 1ユーロ=1.2スイスフランのペッグ制を開始 |
2015年1月 | スイスショック(1ユーロ=1.2スイスフランのペッグ制の崩壊) |
2020年 | コロナショックで再びスイスフラン高へ |
ギリシャ危機からペッグ制に
2000年から10年間にわたり、安全通貨としてスイスフランは円以上に買われることが多く見られていました。
スペインの格付けの引き下げ等で欧州ソブリンリスクが高まり、スイス円は2010年5月を底に急激に上昇し始めます。
2011年にギリシャ危機やアメリカの格付けの引き下げなどで、市場はこれまで以上にリスクに対して神経質な動きを示すようになりました。
欧州債務問題が拡大したことで、ユーロやドルからスイスフランに資金が急速に流れ始め、2011年中旬からユーロスイスの下落スピードが加速します。
Swiss National Bankは2011年9月6日、最後の手段として無制限のスイス売り介入を実施することを表明しました。
記録的なスイスフラン高を抑制するために一時的に1ユーロ=1.2スイスフランのペッグ制を設定したのです。
1ユーロ=1.2スイスフランの水準を守るために無制限に外貨を購入する用意があるという断固とした決意を示したのです。
SNBが無制限介入を実施したことで、スイスフランは円よりも避難通貨としての価値が下がります。
2011年8月の108年70線をピークに、10月に82円40線までスイス円は下落。
ペッグ制の崩壊というスイスショック
ペッグ制は原理的に長く続かず、スイスも外貨準備膨張に耐えられなっていきます。
2015年1月15日、SNBはついに1ユーロ=1.2スイスフランのペッグ制の撤廃を宣言。
スイスショックとも呼ばれる事件により、一時は1ユーロ=0.85スイスフランにまで歴史的なスイスフランの高騰を起こします。
コロナショックにより再度スイスフラン高へ
2020年、新型コロナウイルスの影響で世界的に混乱すると、スイスフランは避難通過として買われました
SNBが行き過ぎたスイスフラン高を抑えるためにに大規模なスイスフラン売りの介入を実行しましたが、それでも上昇をしています。。
スイス・フランの主な変動要因
スイスフランの主な変動要因として、次の3つがあげられます。
- 有事のスイス買い
- スイスキャリー取引
- ユーロの影響
有事のスイス買い
いざというときの安全通貨というのがスイスフランの魅力。
海外のテロや戦争が起きるなどで有事になるとスイスフランは買われやすくなります。
特に基軸通貨をもつアメリカが事件の当事者となる場合は、よりスイスフランに資金が流れ込みます。
「有事のスイス買い」とよばれますが、短期間でもとに戻ることが多く、それほど長期化しません。
低金利を背景にしたスイスキャリー取引
世界経済が安定してくると、円と同様にスイスキャリートレードの動きが見られます。
金利と為替の動きでは、それほど強い相関は見られません。
もともとスイスの金利は他の主要国より低いことから、金利狙いの動きが少ないです。
ユーロの影響
スイスの貿易相手国はEU諸国が輸入の3分の2、輸出のほぼ半分と大きい割合を占めています。
ユーロスイスフランは、ドルスイスとならんで取引が活発です。
ユーロスイスの推移はスイスの経済に大きな影響を及ぼします。
実際に、スイスは自国通貨がユーロに対して割高になった際に、スイス売り介入を何度か行っています。
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