ポンドドル/ポンド円為替レートのリアルタイムチャート

ポンドの特徴

ポンドの特徴を知ると、ポンドは初心者にとって難易度が高めの通貨であることがわかります。

ポンドはディトレ通貨

ポンドの最大の特徴は、投機的な動きが中心で値動きが激しいこと

ロンドン市場は世界で最も取引が活発であり、投機マネーが集まりやすい市場でしょう。

イギリスの通貨であるポンドは、ディトレ通貨として最も取引される通貨のひとつです。

大きな値動きの通貨ペアは損切りのポイントが難しく、ガマンしすぎると取り返しのつかない損失をかぶり、損切りばかりすると損切り貧乏になりがち。

昔は、対ドルで1ポンド2ドル(対円では1ポンド250円)以上と他の通貨に対して、ポンドの価値自体が高いために値動きも激しいものでした。

最近はドルに対して1.0のバリティに近づいており、価値の大きさは他の通貨とそれほど変わらなくなっています。

さらに現在のポンドは金利が下がって下がっているにもかかわらず、活発な値動きは変わりません。

AA

値動きは昔と変わらず激しいということは、それだけ投機の対象として見られている証拠かも。

ポンドは基軸通貨だった

イギリスの通貨であるポンドは、かつて基軸通貨であった歴史を持っています。

大英帝国時代と呼ばれる1800年代後半のから第二次世界大戦まで、イギリスの軍事・経済力は世界一でした。

旧植民地やイギリス連邦加盟国との長い関係から、中東諸国やアフリカなどのマイナー通貨なども複雑にポンドとからみあっています。

第二次世界大戦でその地位をアメリカドルにゆずりましたが、それでもポンドドルの取引高は現在ドル、ユーロ、円についで第4位と人気です。

ポンドは資源国通貨

イギリスは、1975年に北海油田の生産をはじめ、80年代には原油輸出国になりました。

そのため、原油価格が上がればポンドも上昇し、下がればポンドも下落する傾向にあります。

ただし、先進国であるイギリスのGDPに原油価格の影響力はそこまでないため、価格変動のインパクトは大きくありません。

ポンド円の特徴

ポンド円はかけ算通貨(ポンドドル×ドル円)で、ポンドドル以上に値動きが激しい通貨ペアです。

ポンド円の計算方法
  • 1ポンド=1.6ドル
  • 1ドル=80円

→1.6ポンド/ドル×80円=1ポンド128円ポンド

    ポンド円はインターバンク市場で直接取引を行う場合もありますが、市場の流動性が低いときはポンドドルとドル円を別々に取引し、クロスさせることで作ることがあるから。

    ポンドドルも買った後にドル円も同じ方向で買うため、値動きがポンドドルよりも大きくなるのです。

    実際にリーマンショックで2008年7月から2009年1月にかけて、ポンドドルの下落幅が約33%に対して、ポンド円は45%近く下落しています。

    ただ、ドル中心の相場になると、ドル円とポンドドルが別方向に動き、ポンド円の値動きは大きくなりません。

    2011年4月からはポンドドルとポンド円の動きの変化がドル中心の相場にあたります。

    ポンドドル/ポンド円の相場力学
    • ドル円とポンドドルが同じ方向→クロス円中心の相場
    • ドル円とポンドドルが別方向→ドル中心の相場

    ポンドの値動きが活発な時間帯

    ポンドの値動きが活発な時間帯
    • 日本時間16時:ヨーロッパ時間の始まり
    • 日本時間17時:イギリス経済指標の発表が多い
    • 日本時間深夜1時:ロンドン・フィキシングタイム

    ポンド円やポンドドルはヨーロッパ勢が動き始める日本の16時あたりから値動きが活発になります。

    特に17時から18時にかけてはイギリス経済指標の発表が多く、短期的に激しい動きが見られます。

    また、ロンドン市場が閉じる深夜1時にかけても、値動きが活発になります。

    その他、ライトムーブ住宅価格の発表される朝8時やネーションワイド住宅発表の15時なども活発な動きを見せる時間帯です。

    ポンドドル/ポンド円の推移

    昔は高金利通貨としての魅力も備えたポンドでしたが、いまでは低金利通貨の部類になるなど大きな変化がみられます。

    歴史
    1960年代 英国病の経済停滞
    1975年 北海油田の生産を開始
    1979年 サッチャー政権の誕生で経済が立ち残る
    1986年 金融ビックバンで国際的な金融市場の地位を取り戻す。
    1990年 サッチャー政権の退陣で財政赤字が悪化
    1992年 ブラックウェンズデー
    1997年 ブレア労働政権の誕生
    2009年 リーマンショックによる大手金融機関が次々に破綻して下落に
    2020年 ブレクジット

    英国病から金融ビックバン

    イギリスの戦後経済は英国病をよばれるほど停滞が続き、失業やインフレ、ストライキが続くひどい状況が続きました。

    しかし、1979年にサッチャー政権が誕生して、構造改革やインフレ抑制などによる財政赤字削減を実施したことで経済の立ち直りをみせました。

    金融ビックバンと呼ばれる金融市場の改革も行ったことでロンドンは国際的な金融市場として回復します。

    ブラックウェンズデー

    サッチャー退陣の1990年に再び財政赤字が拡大します。

    実体経済が疲弊していくにもかかわらず、EC域内で為替レートを事実上固定するEuropean Monetary System欧州通貨制度European Rate Mechanism欧州為替相場メカニズムを推し進めたことで、ポンドは過大評価されます。

    実体との乖離に目をつけた世界的投機家ジョージ・ソロスは92年9月大量のポンド売りをあびせ 2.0ドル台にあったポンドドルは1.42ドル台割れまで約6,000ポイント近く急落しました。

    ポンド危機の日が水曜日だったことから、ブラックウェンズデーと呼ばれるようになりました。

    その後、イギリスはERM欧州通貨制度から脱退し、ポンドは正式に変動相場制に移行します。

    サブプライム問題

    1997年にはブレア労働政権が誕生し、緊縮財政と景気回復から財政赤字は縮小に向かいます。

    イギリス経済は回復に向かい、ポンドもユーロが誕生する1999年ごとまで堅調な動きがつづきました。

    世界的な低金利を背景にイギリスでも住宅ブームが起こり、景気拡大とともにポンドも2002年から大きく上昇します。

    2007年のアメリカで起こったサブプライム問題をきっかけに個人消費が冷え込み、金利が急速に低下しました。

    リーマンショックによって、イギリスの大手金融機関が次々に破綻するなどイギリス経済は再び厳しい状況に追い込まれ、ポンドドルは2.01から1.35ドルに7,000ポイントあまり急落します。

    その後、FRBが量的緩和をBOE以上に推し進めてきたこともあり、50%戻しに当たる1.7ドル付近へ回復します。(ポンド円は日銀の大規模介入等で200円付近へ回復)

    ポンドの変動要因

    ポンドの主な変動要因
    1. BOEの金融政策
    2. ユーローポンドの動向
    3. 中東勢の動向
    4. イギリス経済指標

    BOEの金融政策

    ポンドの変動要因として挙げられるものは、イギリスの政策金利です。

    インフレターゲットを採用している、イギリスの金融政策は一度始めたら徹底して行う傾向があります。

    ポンドは高金利政策によって経常赤字のファイナンスを行ってきたこともあり、市場に大きな影響をおよぼします。

    実際に2009年3月にBank of Englandイングランド銀行(BOE)、2008年後半から始まった大幅な金利引き下げや量的緩和が急激なポンド売りを引き起こしました。

    ユーローポンドの推移

    イギリスは貿易額からみると、輸出入共に対EUの比率が5割強と、アメリカよりもユーロ圏との実需取引が非常に大きいです。

    AA

    FXでの取引量はポンドドルが大きくても、実需ベースではユーロポンドが最大なのです。

    投機取引は最終的にポジションが決済されるので短期的な影響しかありませんが、実需取引は長期的なポンドの値動きに大きく影響することになります。

    ユーロがドルの受け皿的な通貨として見られるように、ポンドもユーロの受け皿的な動きが見られるといえるでしょう。

    ユーローポンドの影響
    • ユーロにネガティブな材料→ユーロポンドの売り活発化
    • ポンドにネガティブな材料→ユーロポンドの買い活発化

      中東勢の動向

      原油価格の高騰を受け、中東勢のオイルマネーは増大し、さらに原油価格を押し上げる動きが2008年7月の原油価格がピークをつけるまで続きました。

      そのような中東勢のオイルマネーはロンドンのシティーを経由してポンド建てにしてからM&Aや直接投資などが行われることが多いため、ロンドンには巨額の資金が流れ込んできます。

      このように中東勢の対外投資が活発になる時は予想と全く異なる動きが見られることがあります。

      そのような資金のやり取りがポンドの動きを複雑にしています。

      イギリス経済指標

      10年近く値上がりを続けたイギリスの不動産価格は2008年の世界的な信用収縮により住宅バブルの崩壊につながりました。

      今でもイギリスでは、アメリカと同様住宅価格が深刻な問題となり、金融機関の貸し渋りや個人の消費などに影響する住宅関連の司法などは特に注目されます。

      日本時間の朝8時に発表されるライトムーブ住宅価格はディトレにとっては注目される指標の一つです。

      他にも、15時発表されるネーションワイド住宅価格やGDPも、ポンド変動要因としてあげられます。

      ポンドドル/ポンド円の攻略法

      ポンドは、市場の過熱オーバーシュートがよく起こります。

      チャートで損切りポイントを少し遠い位置においたとしても、ほとんど損切りがついてしまうことが多く見られるのです。

      AA

      経験上、損切りポイントはずらさずに置くほうが結果がいい気がします。

      反対に利食いの注文を出しておく場合は、チャートポイントの手前に置くのが基本。

      レートを見ながら取引ができる場合は、成行注文を入れずにオーバーシュートを期待しましょう。

      ただし、東日本大震災などのような特殊な要因でドル円が大きく下落するといったときなどは別ですよ。