チャートが上がる前兆を捉えるテクニカル分析の一つあるチャートパターン分析。
概要対象者:FX・株のチャートパターン分析の入門者
- チャートパターン分析とは?(基本)
- チャートパターン集(一覧・心理)
パターン分析とは?
パターン(フォーメーション)分析とは、チャートパターンから支持線や抵抗線を分析して、値動きを予測するテクニカル分析の一つです。
株式やFXのチャート上によく現れる先行き予測に価値のある特定の形。
チャートパターンには2種類あり、反転パターンと継続パターンに分類されます。
- 反転パターン:重要なトレンド転換が起こること示すパターン
- 継続パターン:一時休止で、短期的な行き過ぎを調整したあとにトレンドが継続するパターン。比較的短期間で終わる。
チャート分析を行ううえで大事なのは、パターンを見てどっちに当たるかを素早く判断することです。
チャートパターンは、支持線や抵抗線を把握して最大どこまで価格が動くかという目標値を設定するときに役立つので、リスク・リワード・レシオを決めるのに役立ちます。
- 価格パターンの前に進行中のトレンドが存在する。
- トレンド転換の最初のシグナルは、重要なトレンドラインのブレイク。
- パターンが大きければ大きいほど、そのあとに続く値動きも大きくなる。
- 天井のパターンは底のパターンよりも期間が短く、ボラティリティが高い。
- 底のパターンは比較的値幅が狭く、形成されるまでの期間が長い。
- 底のパターンは出来高がより重要になる。
なお、チャートパターンは日足以上の足で見たほうがダマシが少ない傾向にあります。
特に出来高が少ないときの1時間足や分足だと一定以上の資金力があれば、コントロールされる場合があるので注意しましょう。
反転パターンの種類
反転パターンはトレンドの終わりに出てくるチャートパターンです。
エリオット波動理論における、第5波で多く発生します。
三尊天井(逆三尊)、ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ(ボトム)
三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダー・トップ)、逆三尊(ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム)は、高い確率で反転するチャートパターンです。
真ん中が一番高くなることが特徴的な形をしています。
日本では、釈迦の両脇に菩薩が配置された三尊像と似ていることから「三尊」と呼ばれ、西洋では頭と肩に見えることから「ヘッド・アンド・ショルダー」と呼ばれています。
反転パターンの中では最も確率が高いので、しっかりマスターしましょう。
三尊天井の投資家心理
逆三尊については買いポジションと売りポジション、上昇トレンドを下落トレンドと逆にすると同じような心理になります。
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最初の山(左ショルダー)ができるまでの心理
- 買いポジションの人の心理:上昇トレンドが継続しているので、ポジションを増やしたい。
- ポジションなしの人の心理:トレンドに乗り遅れたので、どこかで参加したい。
- 売りポジションの人の心理:失敗したと思い、どこかでポジションを決済したい。
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左ショルダーができてから安値をつけるまでの心理
- 買いポジションの人の心理:安値を押し目として認識し、ポジションを増やして利益を増やしたいので、追加の買注文。
⇒決済価格を追加購入したラインに引き上げることで、ノーリスクでエントリー - ポジションなしの人の心理:やっとトレンドに乗れると思い、買い注文
⇒損失を抑えるために購入価格前後で損切りライン。 - 売りポジションの人の心理:損失を広げまいと、売りポジションを損切り注文。
⇒左ショルダーを超えたあたりで、損切り注文は増える。
結果として、上昇力が高くなり、ヘッドは左ショルダーよりも高い山になります。
- 買いポジションの人の心理:安値を押し目として認識し、ポジションを増やして利益を増やしたいので、追加の買注文。
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真ん中の山(ヘッド)ができて、安値で再反発する心理
- 買いポジションの人の心理:左ヘッドよりも下がったことで、上昇トレンドが弱くなったことを認識。
⇒多くのトレーダーは注意深く様子見。一部は利益を確保するために、慌てて決済を行い始めます。 - ポジションなしの人の心理:もう一度トレンドに乗れるチャンスがきたと思って買注文
- 売りポジションの人の心理:ヘッドの高値で売却している人は短期的な利益を目的としてポジションを決済したい。
⇒押し目で売りポジションを決済。
上昇トレンドが継続中ですが、弱まってきていると思って買いポジションを持っている人は警戒を始めます。
とはいえ、まだまだ上昇トレンドの最中なので、ネックラインで売りポジションとポジションなしの人たちからの買い注文が入ってきて、右ショルダーを形成します。
- 買いポジションの人の心理:左ヘッドよりも下がったことで、上昇トレンドが弱くなったことを認識。
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右ショルダーができる心理
- 買いポジションの人の心理:上昇トレンドが終わるんじゃないかと不安。
- ポジションなしの人の心理:どっちのトレンドになるかわからないので様子見。
- 売りポジションの人の心理:上昇トレンドが終了したかもしれないので、どこかで売るポジションを探す。
上昇トレンドが弱くなったという見方が増え、買いポジションよりも売りポジションが増えることで高値の更新がされなくなります。
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ネックラインを割った(三尊天井の完成)ときの心理
- 買いポジションの人の心理:損失を抑えるために買いポジションの決済を行う。
⇒最初から、左ショルダー後、ヘッド後にポジションを持っていた人の決済ラインが重なるので多くの決済が発生します。 - ポジションなしの人の心理:トレンドの転換が発生したとみて、追加の発注を行う。
- 売りポジションの人の心理:トレンドの転換が発生したとみて、追加の発注を行う。
ネックラインに売り注文が集中していることから、一気に逆トレンドの力が発生し、次の節目まで値段が動くことになります。
- 買いポジションの人の心理:損失を抑えるために買いポジションの決済を行う。
三尊天井・逆三尊の見つけ方
三尊天井(逆三尊)の見つけ方はシンプル。
まず上昇トレンドか下落トレンドのどちらかが発生しているかを確認します。
200日線などの長期の平均移動線から上(下)に大きく離れていることも確認しておくといいでしょう。
最後に、ヘッドのあとに高値(安値の)更新に失敗しているところを見つけたら、三尊天井(逆三尊)が発生している可能性が高いでしょう。
なお、傾向としてはトレンドに対する疑問が強くなるので、出来高は段々と少なくなります。
ネックラインの突破することで三尊が発生したと見て、エントリーを行うのが基本となります。
三尊天井・逆三尊のダマシの見つけ方
「三尊崩れは大相場」という言葉があるのですが、三尊でダマシが発生すると強力な継続パターンになるので注意しましょう。
特に右ショルダーの出来高がヘッドよりも多い場合、三尊が崩れやすくなります。
また、ネックラインがトレンドと同じ方向に斜め(上昇トレンドなら右斜め上、下落トレンドなら左斜め下)になっているときは三尊が崩れることもあるので、ネックラインを割ってからの動きに注視してください。
三山(逆三山)、トリプル・トップ(ボトム)
トリプル・トップ(ボトム)は、3つの山が同じラインで反発しているチャートパターンです。
三山(逆三山)は、レジスタンスライン(サポートライン)に3回挑戦したが、突破できなかったことによって発生します。
真ん中の山が大きい三尊よりも確度は低いですが、ダブル・トップ(ボトム)よりかは高い確率で反発する傾向があります。
三山(逆三山)の投資家心理
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最初の山ができるまでの心理
- 買いポジションの人の心理:上昇トレンドが継続しているので、ポジションを増やしたい。
- ポジションなしの人の心理:どこかで参加したい。
- 売りポジションの人の心理:上昇トレンドなので、ポジションを決済したい。
結果として、一度押し目まで下がります。
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2つ目の山ができるまでの心理
- 買いポジションの人の心理:継続パターンかどうかを様子見
- ポジションなしの人の心理:どっちのポジションがうまくいくかで様子見をする人が増える。
- 売りポジションの人の心理:反転パターンだと予測し、売りポジションを増やす。
高値の更新に失敗し、レジスタンスラインができあがります。
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3つ目の山ができるまでの心理
- 買いポジションの人の心理:レジスタンスラインの突破に失敗したことから不安になり、決済を行う人が発生。
- ポジションなしの人の心理:売りポジションで参加する人が増える。
- 売りポジションの人の心理:反転パターンだと予測し、売りポジションを増やす。
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ネックラインを突破したあとの心理
- 買いポジションの人の心理:損失を抑えるために買いポジションの決済を行う。
⇒最初からポジションを持っていた人、途中でポジションを持っていた人の決済ラインが重なる。 - ポジションなしの人の心理:トレンドの転換が発生したとみて、追加の発注を行う。
- 売りポジションの人の心理:トレンドの転換が発生したとみて、追加の発注を行う。
- 買いポジションの人の心理:損失を抑えるために買いポジションの決済を行う。
三山(逆三山)の見つけ方
上昇トレンドの際にネックラインが切り上げっている(下落トレンドの際にネックラインが切り下がってる)場合は、継続パターンの可能性があるので、注意しましょう。
また、出来高がだんだんと少なくなっているかどうかも三山の見つけ方のポイントです。
ダブル・トップ(ボトム)
ダブルトップ(ボトム)は、二度の高値か安値をつけたあとに反転するパターンで、高値や安値圏内で多発する形です。
なお、2回目の高値や安値は更新しない傾向にあります。
スパイク(A・V字)・トップ(ボトム)
スパイクトップ(ボトム)は急激に値段が動くチャートパターン。
バブルのような急激なトレンドが発生したもののすぐに圧力に負けてしまい、維持できなくなって反発・反落してできるパターンです。
何らかの好材料がでて売りや買いが一方的に傾いて、移動平均線から乖離するときによく現れる形です
トレンド発生の場合もありますが、急に反落・反発するのでエントリーするのはハイリスク・ハイリターンとなります。
ボリンジャーバンドなど他のテクニカル分析と合わせて、判断しましょう。
ラウンディング(ソーサー)・トップ(ボトム)
ラウンディング・トップ(ボトム)は、たまに見かける反転パターンで、まるでソーサー(お皿)のように丸い形をしているチャートパターンです。
日本では、「鍋底」という別名でも知られています。
ゆるやかなトレンドのなか、目立った反発もなくもみ合い相場が発生し、そのままトレンド転換がおこなわれます。
上昇トレンドであれば買圧力に対し、売り圧力が徐々にまけて、トレンドが転換することによって発生します。
とはいえ、発生頻度は少なくあまり見かけないことから、知っておくだけで十分でしょう。
トレンド継続パターン(中間波動)の種類
継続パターンは中間波動ともよばれ、エリオット波動理論における調整波にあたります。
上昇トレンドや下落トレンドにおいて、小休止のような一時的な変化として現れるものが継続パターンになります。
保ち合いが終われば、再び元のトレンドに戻るのが一般的。
三角形になりやすいことから三角保ち合いとも呼ばれます。
継続パターンを制すれば、トレンドをマスターすることにつながります。
トライアングル・パターン
トライアングル・パターンは上昇トレンドの際のアセンディング(上昇)・トライアングルとディセンディング(下落)・トライアングルの2種類あり、トレンドが継続することを表すチャートパターンです。
- アセンディング・トライアングル
- 上辺が水平で、下辺が上昇している直角三角形。
移動平均線が上がっていることから買い方が強く、レジスタンスラインで売りポジションを持っている人が必死に耐えている心理状況を表しています。- 上昇トレンドで発生⇒強気。途中でよく現れる
- 下降トレンドで発生⇒終わりに多く現れ、下降トレンドの終わりが近づいているサイン。
- ディセンディング・トライアングル
- 上辺が下落し、下辺が水平な直角三角形。
移動平均線が下がっているいることから売り方が強い。サポートラインで買いポジションを持っている人が必死に耐えている心理状況を表しています。- 上昇トレンドで発生⇒終わりに多く現れ、上昇トレンドの終わりが近づいているサイン。
- 下降トレンドで発生⇒弱気。途中でよく現れる
トリプル・トップ(ボトム)のレジスタンスライン(サポートライン)の突破に成功したことを表します。
そのため、上昇トレンドであれば三角の上が、下落トレンドであれば三角の下が水平となっているのが特徴です。
ペナント・パターン(シンメトリー・トライアングル)
ペナントは、三角保ち合いのチャートパターンの一つです。
トライアングルパターンと違い、ペナントパターンは上の線が切り下がり、下の線が切り上がっている二等辺三角形の形をしています。
急激な上昇や下落のあとによく発生します。
売りポジションと買いポジションの力が拮抗していることから現れますが、トレンドの力から継続する確率のほうが高い傾向にあり、保ち合いは短時間で終わります。
ウェッジ・パターン
ウェッジとは「くさび(大きな石を割るために打ち込む道具)」という意味で、名前のとおりレジスタンスラインとサポートラインが鋭い三角形になる継続パターンの三角持ち合いの一つです。
- 上昇ウェッジ…上昇相場のあとに下方向に傾いたウェッジを形成して、上昇トレンドに戻るパターン。
一旦、売りポジションが優勢の動きになるも、買いポジション踏ん張って勢いを取り戻すことで発生。 - 下落ウェッジ…下落相場のあとに上方向に傾いたウェッジを形成して、下落トレンドに戻るパターン。
売りポジションの抵抗が強く、買い方が一時的に優勢になるも力尽きて発生。
種類 | トライアングル | ペナント | ウエッジ | |
レジスタンスライン(上辺) | 水平 | 切り下がり | 切り下がり | |
サポートライン(下辺) | 切り上がり | 切り上がり | 切り下がり |
フラッグ・パターン
フラッグパターンは「旗」のような形をしている保ち合いチャートパターンの一つです。
急激な上昇や下落のあとにトレンドの調整として発生することが多いです。
レジスタンスラインとサポートラインが並行となっているのが特徴。
- 上昇フラッグ型
- 下方向に傾いたあと、上昇トレンドが続くパターン
上昇トレンドによく見られる形で、一旦の利食い売りが発生することで出現します。 - 下落フラッグ型
- 上方向に傾いてあと、下落トレンドが続くパターン。
- 下降トレンドによく見られる形で、一旦の利食い買いが発生することで出現します。
紛らわしいことに、フラッグはトレンドの逆方向になっているので注意しましょう。
2〜3回ぐらい繰り返しますが、トライアングルパターンと比較して、どこまで続くかはわかりません。
フラッグパターンがあらわれたら、トレンドを継続する合図のフラグだと思っておきましょう。
フラッグパターンのダマシを回避するには?
サポートラインとレジスタンスラインの転換を確認できれば、より信頼性が高くダマシの回避につながります。
上昇フラッグ型では、レジスタンスラインがサポートラインに切り替わることが確認できれば、信頼性が高いものと判断できます。
逆に下落フラッグ型は、サポートラインがレジスタンスラインに切り替わればダマシの可能性は低いといえるでしょう。
レクタングル・パターン
レクタングル(長方形)パターンは、名前の通りサポートラインとレジスタンスラインが並行して長方形のような形になるチャートパターンです。
売りポジションと買いポジションが拮抗しており、特にトレンドを表さないことからトレンド継続することが多いです。
ただ、動きによっては、トリプル・トップ(ダウン)になりかねないので、どっちの方向性で突破するかをしっかりと確認したうえでエントリーしましょう。
トレンド継続パターン(中間波動)の使い方
トレンド継続パターンでは段々と出来高が少なくなってくるものの、パターンの最終局面でブレイクするときには一気に流動性がたかまります。
トレンド継続パターン(中間波動)が見られたら、放れたほうに順張りでポジションを持ちましょう。
ブレイク後に伸びる目標値の目安としては、継続パターンにおける一番長い辺と同じくらいの長さとなります。
ただ、パターンがでるまでのトレンドの動きや天井圏・底値圏ででているかによって意味合いが違ってくるので、様々なテクニカル分析と組み合わせて利用しましょう。
パターン分析にオススメなチャートツール
パターン分析に一番オススメなチャートツールはTradingViewです。
チャートの見やすさはもちろんのこと、パターン分析に必要な描画ツールがそろっています。
TradingViewの三尊天井の描画方法
- ヘッドアンドショルダーを選択。
- 高値と安値を順にクリックしていく。
- ネックラインがひと目で分かる。
TradingViewのトライアングル・パターンの描画方法
- ヘッドアンドショルダーを選択。
- 高値と安値を順にクリックしていく。
- サポートラインとレジスタンスラインがひと目で分かる。
パターン分析をする時にはトレーダー心理を理解しておこう
パターン分析をする際にむやみに形だけ覚えたとしても、実際の相場では教科書どおりの形になることは少ないので注意をしてください。
パターンがよく発生するのは、投資家が似たような心理状況になることで同じ行動を取りやすいからにすぎません。
背景にある、他トレーダーの考えも考えてパターン分析をしていきましょう。
どの局面で発生しているかについて確認することも大事です。
他のテクニカル分析手法と組み合わせて、精度の高い分析をしてくださいね。
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