ユーロドル為替レートのリアルタイムチャート

ユーロはどんな通貨

ユーロは、EUの加盟国の一部で導入している単一通貨です。

1999年1月に誕生したユーロですが、ヨーロッパでは1970年頃には既に具体的な考えが示されていました。

ユーロ誕生の背景には、為替相場の安定化と実体経済の統合があります。

ユーロの目的
  • USDに対し、ヨーロッパが一体となり基軸通貨として対抗するため。
  • ヨーロッパが経済的利害を共有することで二度と戦争を起こさないため。
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実際に世界の外貨準備を見ると、2番目に大きなシェアを誇る通貨となっているんだ。

誕生してから20年以上経過して、ユーロは誕生当初の11カ国から今では19カ国と導入国を増やしています。

ユーロ導入国一覧
国名 ユーロ導入日 旧通貨
アイルランド 1999年1月1日 ポンド
イタリアイタリア 1999年1月1日 リラ
エストニアエストニア 2011年1月1日 クローン
オーストリアオーストリア 1999年1月1日 シリング
オランダオランダ 1999年1月1日 ギルダー
キプロスキプロス 2008年1月1日 ポンド
ギリシャギリシャ 2001年1月1日 ドラクマ
スペインスペイン 1999年1月1日 ペセタ
スロバキアスロバキア 2009年1月1日 コルナ
スロベニアスロベニア 2007年1月1日 トラール
ドイツドイツ 1999年1月1日 マルク
フィンランドフィンランド 1999年1月1日 マルッカ
フランスフランス 1999年1月1日 フラン
ベルギーベルギー 1999年1月1日 フラン
ポルトガルポルトガル 1999年1月1日 エスクード
マルタマルタ 2008年1月1日 リラ
ラトビアラトビア 2014年1月1日 ラッツ
リトアニアリトアニア 2015年1月1日 リタス
ルクセンブルクルクセンブルク 1999年1月1日 フラン

1999年当初はアメリカドル約70.9%、ユーロ約17.9%であったものが、2020年にはアメリカドル約61.3%、ユーロ約20.3%と着実にシェアを伸ばしています。

ユーロ圏で大きな影響力を持つ国は、ドイツとフランスです。

市場は、ユーロ圏の指標とともにドイツやフランスの政治的な動きや経済指標を注視する傾向があります。

ユーロドルの推移

年月 イベント
1999年1月 ユーロ誕生(1ユーロ=1.1789ドル)
2000年10月 ユーロドル市場最安値(1ユーロ=0.8230ドル)
2007年 サブプライムローン問題表面化
2008年 ECB利上げ継続で市場最高値(1ユーロ=1.6035ドル)
リーマンショックでECBも利下げをおこなったことで下落
2014年4月 ECB量的金融緩和を始めたことで下落が進む
2017年 ユーロ圏の経済回復から持ち直し始める
2018年 タリアでポピュリズム政権が誕生し政治不安が起こり下落に転じる
2022年 ウクライナ問題でエネルギー価格等の上昇による経済悪化の見通しでさらなる下落、ドルを下回る

ユーロの誕生からバブルに

ユーロ誕生後は下落がつづき、1999年12月に市場で初めてドルを下回りました。

2000年10月には市場最安値となる0.8230ドルまで下落し、安値圏でのもみ合いが1年ほど続きます。

そこからようやく、ユーロ圏はアメリカ以上の人口を誇ることから価値の高まりが期待されて、ユーロは本格的な上昇に転じます。

2006年にアメリカドルを上回り、ユーロバブルにつながります。

ギリシャショックからユーロバブル崩壊

サブプライムローン問題の際もFRBが利下げを行った一方で、ECBが利上げを継続したことで2008年4月には1.6035ドルの史上最高値をつけます。

しかし、1.6ドルはユーロへの期待の高さから買われすぎといえ、上昇は長続きしません。

2008年9月にリーマンショックが起こるとECBも利下げを始めたことで、1.23ドルまで急落します。

さらに2009年10月に発覚したギリシャの巨額の財政赤字をきっかけに金融不安がヨーロッパ全体に影響すると、ユーロは再び下落に向かいました。

ただ、アメリカも同時に景気減速の懸念が強まったことで、FRBの量的緩和によるドル安誘導の動きも見られました。

アメリカドルとの綱引き状況による乱高下が続きました。

終止符となったのは2014年4月にECBが量的金融緩和を始めたことで、ユーロドルのさらなる下落が1年ほどかけて起こります。

経済回復で持ち直すも政治不安で下落に

2017年になって、ようやくリーマンショックから世界経済が回復が見られます。

なかでもユーロ圏はユーロ安の恩恵を受けたことで、経済成長が期待されていました。

さらに当時のドラギECB総裁が金融緩和を終える発言もあって、ユーロドルは持ち直して上昇傾向に転じました。

しかし、2018年に今度はイタリアでポピュリズム政権が誕生し政治不安が起こります。

バラマキ政策を実施したことで財政悪化を招き、設備投資の悪化につながり、経済の成長力を弱めることになったことでユーロドルは再び軟調を迎えます。

そして2022年にウクライナ問題が起きたことで、ついに20年ぶりにアメリカドルを下回る結果になっています。

ユーロドルの変動要因

ユーロドルの特徴
  1. アメリカの金融や経済動向、NYダウの動き
  2. ECBの金融政策と要人発言
  3. その他、ユーロ圏の政務問題、英国ポンドなど

ユーロドルはアメリカ動向に影響を受ける

ドルインデックスの約6割をユーロが占めていることから、ドルとユーロの関係が強いとも言えます。

ユーロは第2の基軸通貨と言われるだけあり、ドルの避難通貨としてのイメージが強く、ドルが売られるときにはユーロに買いが集中することが多く見られます。

AA

ユーロとドルはお互いに相手の受け皿通貨として、シーソーのような関係にあります。

アメリカも政府債務上限引き上げ問題の混乱などからトリプルAの格付けが引き下げられるなど、基軸通貨としてのドルの信頼がゆらぎ始めています。

リスク回避の動きが強まるときには安全通貨としてドル買いの動きは変わりません。

アメリカの経済指標によくある例
  1. NYダウ下落
  2. ドル上昇
  3. ユーロ下落

FRBとECBの金融政策と要人発言

ユーロとドルは互いの金利の影響を強く受けます。

実際にリーマンショック後は、FRBとECBの金利の綱引きによって、大きなレンジの中で上下を繰り返すもみ合いが続いていました。

そのため、金利を決めるFRBとECBの金融政策は非常に重要な要素となります。

金融政策に先駆けて発表される要人発言も駆け引きとしてインパクトを持ちます。

ユーロ圏の政治問題

ユーロはヨーロッパの国際通貨であることから、各国の政治情勢の影響をかなり受けやすいです。

実際にギリシャショック、イタリアの政治不安、Brexitなど一か国でも不安が持たれると、ユーロドルは下落しました。

アジア時間ではユーロ円の動きが中心ですが、欧州時間になるとユーロを中心としたクロス取引が活発になります。

特にクロス取引ではユーロポンドの取引が取引が目立ち、貿易やM&Aよりも投機的な取引が活発になります。

その他の欧州通貨や南アフリカのランド、中近東などの通貨とも複雑に絡み合いながら取引されます。

ユーロドルの特徴

ユーロドルはFX取引シェアの約27%も占める最もメジャーな通貨ペア。

ユーロドルは実需取引も多く、他の通貨ペアに与える影響も強いことが特徴です。

逆にユーロドルに大きな影響を与える通貨はユーロ円です。

ユーロドルの動きの特徴

ユーロドルは市場参加者が多く、流動性の高いのが特徴です。

流動性が高い通貨ほど中長期でテクニカル分析がしやすいので、月足で大きな流れをつかみましょう。

ユーロドルは長期トレンドができやすいので、ディトレに加えポジションにも適しています。

ユーロとドルのよくある動き
  • バランスが崩れるサインがでるまでは、ユーロドルは大きなレンジ内での動きが続きやすい。
  • ユーロとドルの双方のバランス状態が崩れるときには、長期トレンドができやすい。

ユーロドルの注目時間帯

ユーロドルの特に取引が活発な時間帯は、東京市場と欧州市場の重なる16時(日本時間)あたりとNY市場が始まる21時(日本時間)あたり。

ロンドン市場の引け間際の深夜の2時頃(日本時間)もよく動くことがあります。